今回は高卒認定試験物理基礎の平成27年度第2回のポイント解説の続きをしていきます。
前回の記事はこちらから。

では大問3、大問4について確認していきましょう。
大問3
大問3は力学的エネルギーの保存、比熱と熱容量、熱量の保存に関する出題がありました。
問1
問1は力学的エネルギーの保存の問題です。
問1(1)
保存力以外仕事をしないので力学的エネルギーが保存します。
点Aと点Bの2点間を考えます。
点Bの位置を基準点とすると、点Aでは高さが\(L\)であるので\(mgL\)の位置エネルギーをもっています。
ここから初速度\(0\)でおもりをはなし、最下点である点Bを速さ\(v\)で通過しているので最初の位置である点Aでもっていた位置エネルギーが運動エネルギーにすべて変わっています。
よって
\[mgL=\frac{1}{2}mv^2\]
という式が成り立つので、これを\(v\)について解くと
\begin{align}
mgL&=\frac{1}{2}mv^2\\
v^2&=2gL\\
v&=\sqrt{2gL}
\end{align}
と求まります。
問1(2)
(2)はおもりが点Bから点Aと同じ高さである点Cに達した時についてです。
点Cは点Aと同じ高さであるということは、点Bでもっていた運動エネルギーが位置エネルギーにすべて変わります。
そのため、点Cでおもりは速度をもっていません。
また、おもりにはたらくちからを考えると、重力と糸からの張力がありますが、糸を切るので張力がなくなります。
したがって、おもりには重力しかはたらかなくなり、速度をもっていないということから、力がはたらいている方向、つまりエの向きに動くことがわかります。
問2
問2は比熱と熱容量の問題です。
4つの金属球に同じ熱量を加えた時、温度変化が一番小さいものを選びます。
比熱とは単位質量の物質の\(1\ \rm K\)上昇させるのに必要な熱量のことであり、この比熱が大きいものほど温度を変化させるのに多くの熱量が必要になります。
同じ熱量を加えるので、比熱が大きいものほど温度変化が小さくなります。
しかし、各物質の質量が異なっているので単純に比熱だけを見て考えることができません。
ここで、質量と比熱が与えられているので、熱容量をそれぞれ計算しましょう。
比熱\(c\)と熱容量\(C\)は
という関係があったので、それぞれの金属球について質量と比熱をかけます。
すると
金属球A : \(0.90\times100=90\ \rm J/K\)
金属球B : \(0.45\times200=90\ \rm J/K\)
金属球C : \(0.38\times300=114\ \rm J/K\)
金属球D : \(0.24\times400=96\ \rm J/K\)
と求まります。
熱容量は物質の温度を\(1\ \rm K\)上昇させるのに必要な熱量のことでしたので、熱容量が大きいものほど温度変化が小さくなります。
よって、4つの金属球の求めた熱容量を比較すると金属球Cが一番大きいので、これが一番温度変化が小さいとわかります。
問3
問3は熱量の保存の問題です。
外部との熱のやりとりがないので、\(60\)℃の水が失う熱量=\(20\)℃の水が得る熱量という熱量の保存が成り立ちます。
よって、水の比熱を\(c\)とすると
\begin{align}
200\times c\times (60-T)&=300\times c\times (T-20)\\
2(60-T)&=3(T-20)\\
120-2T&=3T-60\\
T&=36
\end{align}
と求まります。
大問4
大問4は自由端反射、気柱の振動に関する問題が出題されました。
問1
問1は自由端反射の問題です。時間経過したときの波形の形を考えながら問題を解いていきましょう。
問1(1)
(1)は時刻が\(1\)秒のときの波形をまずは考えましょう。
波は正の向きに\(2\ \rm cm/s\)の速さで進むので、時刻\(1\)秒のときは波形は\(2\ \rm cm\)進むので下図のようになります。
よって、\(x=4\ \rm cm\)における変位を読み取ると\(y=1\ \rm cm\)となります。
問2
問2は時刻\(2\)秒における波形を選択肢の中から選びます。
自由端で反射した波と進行波とが合成された波が観測されます。
そのため、反射波をかき、合成波を考えましょう。
自由端反射では、壁を通過した波を考えそのまま折り返したものが反射波となります。
反射波は以下のようになります。
よって合成波は下図のようになります。
よって、②の波形が正解となります。
問2
問2は気中の振動に関する問題です。ピストンによって閉管となっています。
問2(1)
(1)は管内にできる定常波を選ぶ問題です。
最初の共鳴が起こったときは基本振動が管内にできています。
よって②の図が正解となります。
問2(2)
(2)は出る音の波長を考えます。
\(L=11\ \rm cm\)で最初の共鳴、つまり基本振動、\(L=35\ \rm cm\)で2回目の共鳴、つまり3倍振動ができています。
ここで、注意が必要なのが開口端の腹の位置についてです。
管口から少し外側にでき、これを開口端補正といいます。
今回はこの開口端補正が無視できないので考慮して考える必要があります。
開口端補正を\(l\)として、管内にできる定常波を考えると下図のようになります。
よって、基本指導については\(11+l\)の長さと\(\frac{\lambda}{4}\)の長さが等しいので
\[11+l=\frac{\lambda}{4}\]
3倍振動については\(35+l\)の長さと\(\frac{\lambda}{4}\times3\)の長さが等しいので
\[35+l=\frac{\lambda}{4}\times3\]
となります。
2式の両辺を引くことで開口端補正部分が消えます。
よって
\begin{align}
11-35&=\frac{\lambda}{4}-\frac{\lambda}{4}\times3\\
-24&=-\frac{1}{2}\lambda\\
\lambda&=48\\
\end{align}
と求まります。
まとめ
今回はここまでです。
平成27年度2回目ポイント解説その3はこちらから。

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