今回は高卒認定試験物理基礎の平成28年度第2回のポイント解説の続きをしていきます。
前回の記事はこちらから。

では大問3、大問4について確認していきましょう。
大問3
大問3は力学的エネルギーの保存、熱容量の保存に関する出題がありました。
問1
問1は力学的エネルギーの保存の問題です。おもちゃには保存力しかはたらかないので力学的エネルギーは保存されます。
問1(1)
ばねの弾性力による位置エネルギーは\(\frac{1}{2}kx^2\)、重力による位置エネルギーは\(mgh\)であり、力学的エネルギーが保存されるので、
\[\frac{1}{2}kx^2=mgh\]
となり、物体が達する高さ\(h\)は
\[h=\frac{kx^2}{2mg}\]
と表すことができ、これが\(x\)だけ縮めた時の高さとなります。
次に、\(2x\)だけ縮めると、先程の式より
\[h’=\frac{k(2x)^2}{2mg}=\frac{4kx^2}{2mg}\]
だけおもちゃは飛び上がります。
飛び上がる高さ\(h’\)を\(h\)を用いて表すと
\[h’=4\times \frac{kx^2}{2mg}=4h\]
と求まります。
問1(2)
おもちゃが机に衝突する直前の速さを求めます。
ばねをどのくらい縮ませたかはわかりませんが、飛び上がる高さは\(H\)とわかっています。
また、飛び上がってから落ちてくるまで、力学的エネルギーは保存されるので、高さ\(H\)での位置エネルギーが衝突の直前の運動エネルギーに変わると考えて
\[mgH=\frac{1}{2}mv^2\]
となり、\(v\)について解くと
\begin{align}
mgH&=\frac{1}{2}mv^2\\
v^2&=2gH\\
v&=\sqrt{2gH}
\end{align}
と求まります。
問2
問2は熱量の保存の問題です。
問2(1)
熱量の保存よりアルミニウム球が失った熱量=水が得る熱量であるので、アルミニウム球が失った熱量を考えます。
アルミニウム球が失った熱量を\(Q\)とすると
\[Q=100\times0.9\times(90-20)=6300\ \rm J\]
と求まります。
問2(2)
(1)の結果から水が温度上昇をして20℃になるためには、\(6300\ \rm J\)必要とわかります。
また、鉄球の比熱はアルミニウム球の比熱の半分であることを踏まえて各選択肢を見ていきましょう。
①については、水の量が(1)と同じですので、水が20℃になるためには\(6300\ \rm J\)必要となります。ここで、鉄球が失う熱量を考えると、比熱がアルミニウム球の半分であることから、\(3150\ rm J\)となります。すると、水が得る熱量も\(3150\ rm J\)であるので、これでは20℃まで温度が上昇しないので誤りとなります。
②については、全体の温度が20℃より高くなるためには、水が\(6300\ \rm J\)より大きな熱量を得る必要があります。この場合だと鉄が失う熱量が①より小さくなるので(鉄球の温度変化が小さくなるため)、水が得る熱量も減り、20℃より高くならず誤りです。
③については、これが正解の選択肢となります。
④については、①の結果からもわかるように、水の量が同じでも全体の温度が20℃にならないので誤りです。
大問4
大問4は自由端反射・固定端反射、定在波(定常波)、気柱の振動、弦の振動に関する出題がありました。
問1
問1は自由端反射・固定端反射について反射波を答える問題です。
自由端反射した場合と固定端反射した場合の波形を考える必要があります。
それぞれの反射波の考え方を確認しておきましょう。
→端がない場合の連続波をかき、かいた波形を端を軸にして折り返す。
→端がない場合の連続波をかき、かいた波形に上下を反転させた後、端を軸にして
折り返す。
それでは自由端反射と固定端反射の波形を考えていきましょう。
まずは自由端反射です。(赤が反射波)
次に固定端反射です。(青が反射波)
よって、自由端のときはウの波形、固定端のときはエの波形となります。
問2
問2は定在波(定常波)についての問題です。
振幅と節の位置を答えます。
振幅は元の振幅の2倍となるので\(2A\)となります。
節の位置については、波形を少しずらして考えましょう。
問題文の図の波形と少しすすめた波形は以下のようになります。
合成波をそれぞれ考えると、b、d、fの位置が全く振動していないので節となります。
問3
問3は開管の気柱の振動の問題です。
問題文に振動数が\(f_0\)のとき、基本振動で共鳴したとあります。
つまり、開管内に基本振動ができていることがわかります。
気柱内には半波長分の波ができており、開管の長さを\(l\)とすると波の波長\(\lambda_1\)は
\[\lambda_1=2l\]
となります。
音速を\(V\)とすると
\[V=\lambda_1f_0=2lf_0\]
と表すことができます。
次に共鳴する振動を考えると、2倍振動のときになります。
このとき、気柱内には1波長分の波ができており、開管の長さは変わらないのでその長さ\(\lambda_2\)は
\[\lambda_2=l\]
です。
音速は変わらないので、2倍振動のときの振動数を\(f’\)とすると
\[V=lf’\]
と表すことができます。
この\(V\)が共通であるので
\[2lf_0=lf’\]
これより\(f’\)について解くと
\[f’=2f_0\]
と求まります。
問4
問4は弦の振動の問題です。
腹が1個の定常波が生じたとあるので、基本振動が生じていることがわかります。
長さ\(0.4\ \rm m\)の弦に、半波長分の長さの波ができているので、その長さ\(\lambda\)は
\begin{align}
\frac{\lambda}{2}&=0.4\\
\lambda&=0.8\ \rm m
\end{align}
となります。
波の基本式\(v=f\lambda\)より、波の速さは
\[v=0.8\times800=64\ \rm m/s\]
と求まります。
まとめ
今回はここまでです。
平成28年度2回目ポイント解説その3はこちらから。

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