今回は高卒認定試験物理基礎の平成29度第1回のポイント解説の続きをしていきます。
前回の記事はこちら。

大問5についてです。
大問5
大問5は電力、交流、原子、エネルギーの利用に関する問題です。
問1
電力に関する問題です。
乾電池に豆電球を1個、2個並列、2個直列につないだ場合に消費する電力を考えてみます。
豆電球を1個つないだ場合の電力を基準とします。
まず、2個並列につないだ場合ですが、2つの豆電球にかかる電圧は等しくなります。
よって、基準の2倍の電力を消費することになるので、長持ちしません。
次に2個直列につないだ場合です。
豆電球は同じものを使用しているので、1個あたりで消費する電力は基準の半分になります。
よって、2個直列にしてつないだ場合が最も長く光り続けます。
問2
交流に関する問題です。
このテスラとエジソンとの争いの大きなポイントは送電の際の損失です。
送電線には電気抵抗があり、ジュール熱を発生して電力の一部が失われてしまいます。
この電力の損失は電圧を上げて、電流を小さくすることで抑えることができます。
そして、交流は変圧器を用いいることで容易に電圧を変えることができます。
これが直流にはない交流の特徴であり、高い電圧に変え電力の損失を抑えて電気を送り届けることができます。
よって、③の記述が適しています。
問3
問3は原子に関する問題です。
原子核の構成について確認しておきます。
・陽子(正の電気を持つ)
・中性子(電気をもたない)
・陽子の数 = 原子番号
・陽子の数 + 中性子の数 = 質量数
それでは選択肢を確認していきましょう。
①は質量数が113、②は中性子数が113、③は陽子数と中性子数の差が113、④は陽子数が113となっています。
確認したように原子番号からわかるのは陽子数です。
よって、④が正しい記述となります。
問4
風力発電は風の力を利用して発電機に連結された風力タービンを回すことで発電しています。
風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換しています。
風力発電の特徴を簡単にまとめておきます。
・一定の風力があれば昼夜を問わず電力を生み出すことができる
・排気ガスや\({\rm C0}_2\)などが発生しない
・発電コストが比較的安い
・再生可能エネルギーの中では発電効率が比較的高い
・再生可能エネルギーを利用しているので枯渇のリスクが低い
・陸上だけではなく海上にも設置ができる
などのメリットがあります。
・天候の影響を受ける安定性に欠ける
・騒音が発生する
・設置場所が限定される
・景観を損ねる
などのデメリットがあります。
それでは選択肢を確認していきます。
①については風力発電では石油などを利用せず、二酸化炭素を排出しないので誤りです。
②についてはあくまでも風力発電は吹いてきた風によって風力タービンを回すので、自分の力で回したりして砂やほこりを舞い上げることはありません。
③については風力発電の装置の高さは陸上では100[m]位、洋上のもので200[m]にいかない位の高さです。
そのため、飛行機の運行の障害にはなりません。
しかし、鳥などが風力発電の装置のブレードに巻き込まれるといったことはあるようです。
④は正しい記述で、風力発電の課題でもあります。
まとめ
今回はここまでです。
平成29年度1回目では力学からの出題が多いものとなり、次いで波からの出題でした。
熱や電気からの出題は少ないものとなりましたが基本的事項が問われています。
問題を解くときに図を用いて考えることはもちろん、今回の自由端反射の問題のように作図をして考える必要がある問題も出題されているので、日頃の学習でもそのような問題に取り組むようにしましょう。
今回は以上となります。
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