今回は高卒認定試験数学の平成29年度第1回目のポイント解説をしていきます。
今回は大問1〜大問3についてポイント解説をしていきます。
問題や解答については文部科学省のHPにあるもの(http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/kakomon/1389261.htm)を参照するか、過去問題集などを持っている人はその問題を見てもらってもOKです。
・どのような知識が必要か
・どう解くのがよいのか
といった視点からそれぞれの問題について説明していきます。
大問1
整式の加法・減法、展開、命題が出題されました。
(1)について
整式の加法・減法の問題です。
与えられた文字式を代入して計算する問題です。
いきなり代入して計算したいところですが、まずは式を簡単にしましょう。
\[
(B-A)+(A-C)=B-C
\]
とすることができ、\(A\)についての式も与えられていますが使わなくてよく、計算が少し簡単になります。
繰り返しますがこのように簡単にしてから代入をするようにしてください。
(2)について
展開の問題です。
( )の中が3項同士の展開の問題です。
( )の中が2項のときと同じように1つ1つかけて展開してもよいのですが、これも計算を少し簡単にすることができます。
\((x-2y+1)\)の中身の順番を入れ替えてみます。
なお、足し算・引き算は順番を入れ替えても問題ないです。
\[
x-2y+1=x+1-2y
\]
とします。
するとどちらの( )の中にも\(x+1\)があることに気づくと思います。
これを\(A\)とおきます。
すると問題文の式は
\[
(x-2y+1)(x+2y+1)=(A-2y)(A+2y)
\]
となります。
この式の形をよく見ると
(a-b)(a+b)=a^2-b^2
\]
の左辺と形が同じになっています。
よって
\[
(A-2y)(A+2y)=A^2-(2y)^2
\]
であるので、後は\(A\)を\(x+1\)に戻して
\[
A^2-(2y)^2=(x+1)^2-(2y)^2
\]
を計算すればOKです。
ここで注意があります。
\(A\)を\(x+1\)に戻す時に必ず( )をつけるようにしてください。
(3)について
命題の問題です。
選択肢の命題の真偽を判定します。
命題の真偽を判定する時は、1つでも反例があればその命題は偽となります。
なので、反例がないか選択肢をみていきましょう。
①の選択肢については反例として\(-\sqrt{3}\)があります。
②の選択肢については反例として\(-1\)があります。
④の選択肢は反例として例えば\(-1\)があげられます。
\(-1\)を2乗すると\(1\)となり正ですが、\(-1\)自体は負の数であるので④の選択肢も儀です。
よって真であるものは残った③とわかります。
大問2
1次不等式、不等式の文章問題が出題されました。
(1)について
まずは( )があるので分配法則を利用して( )を外してから計算をしましょう。
移項をする時ですが、左辺に\(x\)を含む項を集める場合最終的な答えを出す時に両辺に負の数をかける(もしくは負の数で割る)必要があるので、不等号の向きを逆にすることを忘れないようにしてください。
不等号の向きのミスが心配な人は、右辺に\(x\)を含む項を集めると負の数をかける(もしくは負の数で割る)必要がなくなります。
このように、不等号の向きを逆にする操作がでないように移項して計算ミスを減らすこともできるので試してみてください。
(2)について
不等式の文章問題です。
ポイントは問題文から式を正しく立てられるかどうかです。
問題文を読み取り、式を立てることが苦手という人は「具体例を考える」ことをオススメします。
購入する商品の個数を求めるのでこれを\(x\)とおきます。
具体例についてですが入会した場合としない場合と両方考えます。
まずは入会しない場合です。
入会しない場合は割引等がないので代金は1個の商品の値段\(\times\)個数です。
1個買えば
\[
500\times 1=500
\]
2個買うと
\[
500\times 2=1000
\]
となるので、\(x\)個買うと代金は
\[
500\times x=500x
\]
となります。
次に入会した場合です。
入会金700円を払うことで1個500円の商品が40円引き、つまり1個460円で買うことができます。
支払う代金は「入会金+購入した商品の代金」となるので、商品を1個買うと
\[
700+460\times 1
\]
計算してもよいのですが、このままにしておきます。
※計算せずにしておく理由ですが、どの様な式を立てるかを考えているので、具体的に値がいくつになるかまでは今の所必要ないため、計算せずにいます。
次に2個買うと
\[
700+460\times 2
\]
であるので、\(x\)個買うと
\[
700+460\times x=700+460x
\]
となります。
何個買うと商品を入会して買うよりも入会しないで買うほうが安くなるか、つまり\(x\)個買った時に入会して買うほうが安くなると考えると
\[
700+460x≦500x
\]
という1次不等式を立てることができるので、後はこれを解けばOKです。
大問3
2次関数からグラフの概形、グラフを表す式、頂点の座標が出題されました。
(1)について
グラフの概形についての問題です。
問題文に与えられたグラフになるような\(a\)、\(p\)の符号を考えます。
まず、下に凸のグラフであるので\(a>0\)がわかります。
これで選択肢が2つに絞られました。
次に\(p\)の符号についてです。
頂点の\(x\)座標で判断するのですが、問題文に与えられたグラフを見ると頂点の\(x\)座標の符号は負です。
\(y=a(x-p)^2+q\)のグラフは\\(y=ax^2\)のグラフを(x\)軸方向に\(+p\)、\(y\)軸方向に\(+q\)平行移動したものでした。
よって、問題文のグラフの頂点の\(x\)座標が負ということは\(x\)軸方向に\(-p\)平行移動したということなので、\(p\)の符号は負とわかり、選択肢が決定します。
(2)について
グラフを表す式を決定する問題です。
頂点とグラフが通る点が与えられています。
頂点がわかっていることから標準形のグラフの式\(y=a(x-p)^2+q\)に頂点の座標をまず代入します。
次にグラフが通る点を代入して\(a\)についての方程式を解いて選択肢から適するものを選びましょう。
(3)について
頂点の座標を求める問題です。
グラフの形が一般形であるので標準形に直す必要があります。
平方完成をする必要があるのですが不安な人は以下の記事を参考にしてください。

標準形に直せたら後は頂点の座標を読み取るだけです。
今回のようにグラフが与えられている場合はそれを利用して解くこともできます。
しかしグラフが与えられていないと使えないですし、これから説明する方法に頼らずグラフの式を標準形にして頂点を読み取れるようにしておいてください。
では説明していきます。
この方法はグラフの軸が頂点を通ることを利用します。
以下の図のように2次関数のグラフの軸は頂点を通り\(x\)軸に垂直な線です。
よって、グラフと\(x\)軸との共有点の中点となります。
これにより、頂点の\(x\)座標が\(1\)とわかります。
後はグラフの式に\(x=1\)を代入して\(y\)の値を求めれば、頂点の座標の\(y\)座標が求まります。
まとめ
今回はここまでです。
次回は大問4〜6についてポイント解説をしていきます。
次回の記事はこちらから。

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