少し長くなってしまいますが、今回で方程式の文章問題の解説も一段落です。
前回の記事はこちらから。

2桁の自然数
この自然数の一の位と十の位を入れ替えた自然数はもとの自然数より18大きくなる。
もとの自然数を求めよ。
というような問題について考えてみましょう。
この問題のポイントは、2ケタの自然数をどのように表すかです。
ここでよくある間違を紹介します。
それは
そしたら一の位と十の位を入れ替えた自然数は\(5x\)だ。
するともとより18大きくなるから
\[
x5=5x+18
\] だ!
このような間違いがよくあります。
間違っている部分は
・立てた方程式
の2つです。
では、説明していきます。
まずは「数量関係を考える」です。
一の位が5ということがわかっていますが十の位はわかっていません。
また、「一の位と十の位を入れ替えた自然数はもとの自然数より18大きくなる。」とあることから、入れ替えたものから18を引けばもとの自然数と同じになるということが読み取れます。
という関係があるということです。
そしてわかることがもう1つあります。
それは入れ替えた数のほうが大きくなるということは、もとの数の十の位の数は一の位の数より小さくなるということです。
文字を使って表してみると一の位の数が5であるので十の位の数を\(a\)とおくと
\[
a<5
\]
となるはずです。
次は「求めるものを文字でおく」です。
以下のように具体的に考えてみます。
何を文字でおくかですが、求めるものは2ケタの自然数ですが一の位が5と決まっているので求めるものは十の位の数となります。
すると
\[
10a+5
\]
とおくことができます。
そして入れ替えた数は
\[
10\times5+a=50+a
\]
となります。
では「方程式を立てる」に移ります。
十の位の数を\(a\)とおくと「もとの自然数=入れ替えた自然数-18」という関係があるので、方程式は
\[
10a+5=(50+a)-18
\]
となります。
式が立てられたら「方程式を解く」ですね。
\[
\begin{align}
10a+5&=(50+a)-18\\
10a-a&=50-18-5\\
9a&=27\\
a&=3
\end{align}
\]
と方程式を解くことができました。
では最後に「解の確認」です。
数量関係を考えるところでも示しましたが、問題文から十の位の数と一の位の数の関係は
十の位の数<一の位の数
であり、解であるはこれを満たしています。
そして十の位の数と一の位の数を入れ替えると53です。
もとの自然数を引いてみましょう。
問題文の示す通り結果が18になればOKです。
\[
53-35=18
\]
よって、十の位の数は3であるので求める自然数は35です。
年齢
A君のお父さんの年齢がA君の2倍になるのは何年後か。
そろそろ解き方の流れに慣れてきたでしょうか?
まずは「数量関係を考える」です。
何年後にA君のお父さんがA君の年齢の2倍になるかという問題です。
経過した年数と同じだけ2人は歳をとっていきます。
2年経過すれば現在の年齢に+2されますね。
では◯年経過したとすると2人の年齢は
A君 → 16+◯ (歳)
A君のお父さん → 44+◯ (歳)
となります。
この時、A君のお父さんの年齢がA君の年齢の2倍になったとすると
という関係が読み取れます。
次に「求めるものを文字でおく」ことを考えます。
何年後にお父さんの年齢がA君の2倍になるのか考えるので求めるものは年数です。
これを\(x\)とおきます。
先程の◯を\(x\)に変えれば良いので\(x\)年後の2人の年齢は
A君 → 16+\(x\) (歳)
A君のお父さん → 44+\(x\) (歳)
となりますね。
では「方程式を立てる」です。
先程の数量関係と文字でおいたものをあわせて
\[
2(16+x)=44+x
\]
となります。
式が立てられたので「方程式を解く」です。
\[
\begin{align}
2(16+x)&=44+x\\
32+2x&=44+x\\
2x-x&=44-32\\
x&=12
\end{align}
\]
となります。
方程式の解が求まったら「解の確認」です。
12年後の年齢をそれぞれ考えると
A君 → \(16+12=28\) 歳
A君のお父さん → \(44+12=56\) 歳
です。
\(28\times2=56\)であるので2倍になっていますね。
よって答えは12年後となります。
速さの問題その1
次は、速さに関する問題です。
苦手な人が多いのではないでしょうか?
その5分後にBさんが毎分90mで追いかけた。
BさんがA君に追いつくのは何分後か。
このような問題を考えてみましょう。
まずは「数量関係を考える」です。
「追いついた」という部分に着目してみてください。
追いつくにはBさんはA君と同じだけ進む必要がありますね。
つまり
という関係になるはずです。
「求めるものを文字でおく」を考えていきます。
何分後に追いつくのかを知りたいのでBさんが出発してから\(x\)分後に追いつくとします。
では、2人の移動距離をどのように表すかです。
道のりと言ったほうがわかりやすいかもしれませんが、小学生の時に速さと時間と道のりの関係式をやったことを覚えているでしょうか?
・道のり=速さ\(\times\)時間
・時間=道のり\(\div\)速さ
という関係式です。
この「道のり=速さ\(\times\)時間」を使います。
ここで、注意なのがA君の時間です。
\(x\)分後の移動距離を求めるからA君の移動距離は\(70x\)だ!
としてはいけません。
A君はBさんより5分前に出発しています。
この\(x\)はBさんが出発してからの時間であり、A君は5分すでに移動しているので\((x+5)\)分とA君の時間を表すことができます。
図で示すと以下のようになります。
つまり
・A君の移動の距離 → 70(5+x) [m]
・Bさんの移動の距離 → 90x [m]
では「方程式を立てる」です。
2人の移動距離が等しくなるので
\[
70(5+x)=90x
\]
となります。
式が立ったら「方程式を解く」ですね。
先に両辺を\(\frac{1}{10}\)倍しておくと計算が楽になります。
\[
\begin{align}
70(5+x)\times \frac{1}{10}&=90x\times \frac{1}{10}\\ \\
7(5+x)&=9x\\
35+7x&=9x\\
35&=2x\\ \\
\frac{35}{2}&=x
\end{align}
\]
となります。
最後に「解の確認」をしていきましょう。
\(x=\frac{35}{2}\)をそれぞれに代入して同じ値になればOKです。
まずはAくんから
\[
\begin{align}
70\left(5+\frac{35}{2}\right)&=70\times5+70\times \frac{35}{2}\\ \\
&=350+35\times35\\
&=350+1225\\
&=1575
\end{align}
\]
Bさんは
\[
\begin{align}
90\times \frac{35}{2}&=45\times35\\ \\
&=1575
\end{align}
\]
となりどちらの移動距離も等しくなりますね。
よって、答えは\(\frac{35}{2}\)分後となります。
速さの問題その2
次は速さが変わる問題です。
走った道のりと歩いた道のりはそれぞれ何mか。
この問題を考えてみましょう。
まずは「数量関係を考える」です。
わかっている情報は
・毎分200mで走った
・途中から毎分40mで歩いた
・合計で19分かかった
ということです。
今の時点でわからいのもは
・歩いたのかどのくらいか
・どのくらいの時間走ったのか
・どのくらいの時間歩いたのか
です。
数量関係がぱっとおもいつかないかもしれません。
図にして情報を整理しましょう。
以下の図を見てください。
わかっているものとそうでないものとを合わせて書いてみました。
わからないものが多いですね。
ここで、とりあえず道のりに着目してみてください。
「求めるものを文字でおく」をするのですが、走った道のりと歩いた道のりと2つ求めるものがあります。片方を使ってもう片方を表すことができました。
忘れた方はこちらの記事の「あわせて◯個」の部分を確認してみてください。

今回は走った道のりを\(x\)とします。
すると走った道のりと歩いた道のりを合わせれば2000mになることから、歩いた道のりは\(x\)を用いて\(2000-x\)と表すことができます。
先程の図をおいた文字を使って書き直してみると
となります。
走った時間、歩いた時間がまだわかっていません。
それぞれの時間を新しい文字を使って表さないと、と思うかもしれませんが
時間=道のり\(\div\)速さ
という関係式がありましたね。
すると
・歩いた時間 → \(x\div40=\frac{2000-x}{40}\)
と表すことができ新たな文字を使う必要がなくなりました。
ここで「合計で19分かかった」という情報が残っています。
これを使って式を立てましょう。
合計で19分かかったということは
という関係を読み取れます。
では「方程式を立てる」です。
走った時間+歩いた時間=19分
のそれぞれの時間を先程表したものでおきかえましょう。
\[
\frac{x}{200}+ \frac{2000-x}{40}=19
\]
となります。
式を立てたら「方程式を解く」です。
まずは両辺に200をかけて式中の分数を整数に直してから計算をしていきましょう。
\[
\begin{align}
\frac{x}{200}\times200+ \frac{2000−x}{40}\times200&=19\times200\\ \\
x+5(2000-x)&=19\times200\\
x+5\times2000-5x&=19\times200\\
x-5x&=19\times200-5\times2000\\
-4x&=200(19-5\times10)\\
-4x&=200\times(-31)\\
x&=200\times(-31)\times \left(-\frac{1}{4} \right)\\
x&=1550
\end{align}
\]
となります。
途中あえて計算しなかったのは分配法の逆をして200でくくり計算を簡単にするためです。
では「解の確認」です。
走った時間、歩いた時間をそれぞれ出し合計して19分になればOKです。
なお歩いた道のりは\(2000-x\)より、\(2000-1550=450\)mです。
まず、走った時間は
\[
\frac{1550}{200}=\frac{155}{20}
\]
整数に直らなければ分数のままにしておいて大丈夫です。
次に、歩いた時間は
\[
\frac{450}{40}=\frac{45}{4}
\]
合計すると
\[
\begin{align}
\frac{155}{20}+\frac{45}{4}
&=\frac{155}{20}+\frac{225}{20}\\ \\
&=\frac{380}{20}\\ \\
&=19
\end{align}
\]
となります。
よって走った道のりは1550m、歩いた道のりは450mとなります。
方程式の文章問題のまとめ
では方程式の文章問題についてまとめていきます。
いかに方程式を立てられるかがやはりポイントになります。
②求めるものを文字でおく。
③方程式を立てる。
④方程式を解く。
⑤解の確認
これが方程式の文章問題を解く流れでした。①、②は入れ替えても構いません。
数量関係や文字のおき方についてですが、慣れないうちは
・図を使って考える
・表にまとめてみる
など「情報を整理する」と考えやすくなります。
特徴的なおき方は覚えてしまうのもありですが、やはり自分で見つけられるのが1番です。
見たことの無い問題が出されても応用して解けるように、方程式を立てるまでを繰り返し練習してみてください。
この他にも方程式の文章問題はたくさんあります。
手元にある教科書や問題集にのっているものにどんどん挑戦してみましょう!
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