方程式の解き方の続きです。
前回の記事はこちら

今回の記事では
・小数が含まれる方程式の解き方
・( )のついた方程式の解き方
の解説をしていきます。
分数が含まれる方程式の解き方
\frac{1}{3}y+4=13-\frac{1}{2}y
\]
このように、方程式の中に分数が含まれる場合にどのようにして解けばよいのでしょうか?
ポイントは
です。
では、どうやって分数を整数に直すかということです。
直し方ですが
ことをします。
左辺の\(\frac{1}{3}\)の分母の3、右辺の\(\frac{1}{2}\)の分母の2、つまり2と3の公倍数を考えます。
2と3の公倍数 → 6、12、18、24・・・
どれをかけてもよいのですが、計算を簡単にするために最小公倍数である6をかけます。
よって
\[
\left(\frac{1}{3}y+4\right)\times6=\left(9-\frac{1}{2}y\right)\times6
\]
です。
この時( )をつけて両辺にかけるようにしましょう。
よく( )をつけ忘れて、分数にしかかけるべき数をかけないなどのミスがあるので注意です。
後は分配法則を利用すれば分数が整数に直るので、後は前回学習した方程式の解き方を利用します。
\[
\begin{align}
\left(\frac{1}{3}y+4\right)\times6&=\left(9-\frac{1}{2}y\right)\times6\\ \\
\frac{1}{3}y\times6+4\times6&=9\times6-\frac{1}{2}y\times6\\ \\
2y+24&=54-3y\\
2y+3y&=54-24\\
5y&=30\\ \\
5y\times \frac{1}{5}&=30\times \frac{1}{5}\\ \\
y&=6
\end{align}
\]
となります。
もちろん、最小公倍数でなくても各辺の分母の公倍数が両辺にかけられていれば計算することができます。
今回であれば、12や18、24などこれらの数をかけても計算することができます。
しかし、実際に計算してもらってもよいのですが数字が大きくなってしまいます。
計算ミスの原因にもなるので避けるようにしましょう。
両辺に公倍数をかける理由
では、なぜ両辺に公倍数をかけるのか説明しておきます。
今回の例
\[
\frac{1}{3}y+4=13-\frac{1}{2}y
\]
をまた使いますが、
左辺は3、右辺は2をかければ分数が整数に直るのでは?
と思う人もいるかもしれません。
たしかに、左辺は\(\frac{1}{3}y\times3=y\)、右辺は\(-\frac{1}{2}y\times2=-y\)と整数に直りますが、重要な性質を忘れています。
A\times C=B\times C
\]
という等式の性質です。
忘れた方は以下の記事を確認して下さい。

等式に何かをかけるときには両辺に同じ操作をすることが必要でした。
そうしないと等式が成立しないからです。
なので、先程のように左辺に3、右辺には2のようにそれぞれの項のみに数をかけることはできません。
そのため、両辺の分数を整数に直すためには、それぞれの分母の公倍数を両辺にかける必要があるわけです。
小数が含まれる方程式の解き方
次は小数が含まれる場合です。
0.1a-4=8-0.3a
\]
この例を考えてみましょう。
ポイントは
です。
では、どのようにして整数に直すかについてです。
です。
今回の例であれば両辺を10倍してあげれば小数部分が整数に直りますね。
よって
\[
(0.1a-4)\times10=(8-0.3a)\times10
\]
となります。
分数が含まれる時と同様に、必ず( )をつけてから両辺にかけましょう。
両辺にかけるのも
\[
A\times C=B\times C
\]
この等式の性質によりかける前後で等式の成立を崩さないためです。
後は計算して解を求めます。
\[
\begin{align}
(0.1a-4)\times10&=(8-0.3a)\times10\\
0.1a\times10-4\times10&=8\times10-0.3a\times10\\
a-40&=80-3a\\
a+3a&=80+40\\
4a&=120\\ \\
4a\times \frac{1}{4}&=120\times \frac{1}{4}\\ \\
a&=30
\end{align}
\]
となります。
含まれる小数の位が左辺と右辺で違う場合
先程の例は両辺の小数の位が\(\frac{1}{10}\)の位と一致していました。
しかし、以下のような場合ではどうでしょうか?
\[
0.07x-0.3=0.2x+0.04
\]
この例では、左辺と右辺の小数の位が一致していません。
\(\frac{1}{10}\)の位と\(\frac{1}{100}\)の位が含まれています。
こういった時はどうすればよいかというと
です。
つまり、今回の例であれば\(\frac{1}{100}\)の位が1番小さなくらいであるので両辺を100倍します。
よって
\[
(0.07x-0.3)\times100=(0.2x+0.04)\times100
\]
とすればOKです。
後は計算するだけです。
\[
\begin{align}
(0.07x-0.3)\times100&=(0.2x+0.04)\times100\\
0.07x\times100-0.3\times100&=0.2x\times100+0.04\times100\\
7x+30&=20x+4\\
30-4&=20x-7x\\
26&=13x\\ \\
26\times \frac{1}{13}&=13x\times \frac{1}{13}\\ \\
2&=x
\end{align}
\]
と解を求めることができました。
( )のついた方程式の解き方
最後に( )のついた方程式の解き方についてです。
ポイントは
です。
では問題を使って説明していきます。
\[
4(x+1)=3(x-2)
\]
この問題を考えてみます。
まずは分配法則で( )を外しましょう。
\[
\begin{align}
4(x+1)&=3(x-2)\\
4\times x+4\times1&=3\times x-3\times2\\
4x+4&=3x-6
\end{align}
\]
後は移項して計算しましょう。
\[
\begin{align}
4x+4&=3x-6\\
4x-3x&=-6-4\\
x&=-10
\end{align}
\]
となります。
( )の前に分数や小数がある場合
( )の前に分数や小数がある場合はどうすればよいかというと、そのまま分配法則を利用して( )を外しても良いのですが、計算を簡単にするために整数に直してから分配法則を使うことをおすすめします。
では、まずは分数の場合から。
\[
\frac{1}{4}(x+1)=\frac{1}{3}(x-2)
\]
各辺の( )の前の分数の分母の公倍数を両辺にかけます。
今回であれば、左辺の\(\frac{1}{4}\)の分母の4、右辺の\(\frac{1}{3}\)の分母の3の公倍数を考えるので
3と4の公倍数 → 12、24、36・・・
のどれかをかけるのですが、計算を簡単にするために最小公倍数をかけましょう。
つまり、両辺に12をかけます。
よって
\[
\begin{align}
\frac{1}{4}(x+1)\times12&=\frac{1}{3}(x-2)\times12\\ \\
3(x+1)&=4(x-2)\\
\end{align}
\]
となります。
後は分配法則を使い解くだけなのでこの先は省略します。
次に小数の場合です。
\[
0.003(4z-1)=0.01(z+1)
\]
この問題を考えてみましょう。
小数部分を整数にするために、1番小さい\(\frac{1}{1000}\)の位が整数になるように両辺を1000倍しましょう。
よって
\[
\begin{align}
0.003(4z-1)\times1000&=0.01(z+1)\times1000\\
3(4z-1)&=10(z+1)
\end{align}
\]
となります。
これも後は分配法則を使い解くだけなのでこの先は省略します。
このように( )の前の分数や少数は整数に直してから計算するようにしましょう。
まとめ
それでは今回のまとめです。
分数が含まれる方程式の解き方
・両辺の分母の最小公倍数を両辺に( )をつけてかける
小数が含まれる方程式の解き方
・一番小さい小数の位が整数になるように10倍または100倍、1000倍・・・する
( )がついた方程式の解き方
・分配法則を利用して( )を外してから計算する
・( )の前に分数や小数がある場合は整数に直す
今回はここまでです。
次回は方程式の解き方をまとめ、流れを示したいと思います。
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