高卒認定試験数学のポイント解説です。
前回は1次不等式と連立不等式のポイント解説でした。

大問2の「方程式と不等式」から1次不等式の文章問題ついて解き方のポイント解説を説明していきます。
1次不等式の文章問題は毎年出題されています。
文章問題が苦手な人もいるかと思いますが、ポイントをおさえて確実に解けるようにしましょう。
1次不等式の文章問題
1次不等式の文章問題についてまずは解き方の流れを確認し、そのご解き方のポイントを解説していきます。
基本的な流れは方程式の文章問題と同じです。

答えを出す時に注意すべき点があるのでそこは特に注意して確認して下さい。
解き方の流れ
初めに解き方の流れを示します。
①問題文から数量関係を考える。
②求めるものを文字でおく。
③不等式を立てる。
④不等式を解く。
⑤求めるものの範囲の確認
となります。
方程式の文章問題との違いは立式するものが方程式か不等式の違いです。
また、解を求めた後に数直線を用いて求めるものの範囲を確認して、適する答えを見つける必要があります。
具体例を用いて解説していくのですが、その前に解き方のポイントを確認しましょう。
解き方のポイント
解き方の流れで示した
③不等式を立てる。
⑤求めるものの範囲の確認
が解く上でのポイントとなります。
①問題文から数量関係を考える。
まずは①からです。
問題文からどのような数量関係があるのかを最初に読み取るのですが、文章問題が苦手な人は具体例をまずは考えるとよいでしょう。
例えば
という問題の数量関係を考えてみましょう。
いきなり文字でおこうとするのではなく、具体例をまずは考えてみます。
まずは商品を1個購入した時を考えてみます。
会員になった場合、500円の商品は50円引きされ450円になり、入会金と商品1個分の値段を支払うことになるので合計で
\[
500+450=950\ \ \ \mbox{円}
\]
となります。
会員でない場合は500円の商品の代金だけなので支払うのは
\[
500\ \ \ \mbox{円}
\]
です。
入会しないで購入したほうが安いですね。
次は2個購入したときです。
会員は入会金と450円の商品が2個分なので
\[
500+450\times2=1400\ \ \ \mbox{円}
\]
となります。
会員でない場合は500円の商品2個分の値段なので
\[
500\times2=1000\ \ \ \mbox{円}
\]
です。
まだ入会しないで購入したほうが安いですね。
次は3個購入した時を考えてみます。
会員は入会金と450円の商品が3個分なので
\[
500+450\times3=1850\ \ \ \mbox{円}
\]
となります。
会員でない場合は500円の商品3個分の値段なので
\[
500\times2=1500\ \ \ \mbox{円}
\]
です。
これもまだ入会しないで購入したほうが安いです。
このようにいくつか具体例を考えていくと、会員の場合の代金と会員でない場合の代金を式で表して比べればいいことに気づくと思います。
そして、会員の場合が会員でない場合よりも代金が安くなるときを考えるので
会員の場合の代金<会員でない場合の代金
という関係になることが考えられると思います。
後は求めるものを文字でおいて不等式を立てればOKです。
具体例を考えることで数量関係に気づけたり、どのような式を立てればよいのか見通しがつくので、文章問題が苦手な人は試してみて下さい。
③不等式を立てる。
次に③についてです。
数量関係が把握できれば求めるものを文字でおいて立式することができると思います。
ここで注意してほしいのが不等号の向きです。
左辺と右辺の関係に注意して不等号の向きを決めて下さい。
また「以上・以下」なのか「〜より◯◯」なのかで不等号を使い分ける必要があります。
・aはb以下 → a≦b
・aはbより大きい → a>b
・aはbより小さい → a<b
です。
問題文をよく読んで、このような語句から判断して下さい。
⑤求めるものの範囲の確認
最後に⑤です。
不等式の解の範囲が求まったら求めるものの範囲を数直線で確認しましょう。
高卒認定試験数学では整数で答えるようになっているので注意が必要です。
例えば、最大の整数を求める問題で不等式を解いた結果が
\[
x<\frac{5}{2}
\]
となったとします。
そうしたらこれを数直線にまずは表します。
解の範囲としては図の赤い部分となります。
\(x<\frac{5}{2}\)がそのまま答えにはなりません。
整数で求める必要があるので範囲内の最大の整数である2が答えとなります。
このように求めた結果が必ずしもそのまま答えにならないことがあるので注意して下さい。
そのため、図のように前後の整数も考えておくとよいです。
例
それでは解き方の流れ、ポイントを意識して例題を解いてみます。
これを考えてみます。
まずは①「数量関係を考える」です。
具体例を考えてみましょう。
・ケーキを1個買った場合
ケーキと1個100円のお菓子とを合わせて10個購入することから、1個100円のお菓子は(\(10−1=9\))個買うことになります。
それぞれの代金を考えると
ケーキ → \(250\times1=250\)(円)
お菓子 → \(100\times9=900\)(円)
であり、代金の合計はケーキ+お菓子であるので
\[
250+900=1150
\]
となります。
・ケーキを2個買った場合
1個100円のお菓子は(\(10−2=8\))個買うことになります。
それぞれの代金を考えると
ケーキ → \(250\times2=500\)(円)
お菓子 → \(100\times8=800\)(円)
であり、代金の合計はケーキ+お菓子であるので
\[
500+800=1300
\]
となります。
数量関係が見えてきたでしょうか。
ケーキの代金+お菓子の代金が1500円以下
となるような式を立てればよさそうですね。
またお菓子の個数は
\(10-\mbox{ケーキの個数}\)
となることがわかると思います。
それでは②「求めるものを文字でおく」に移ります。
今回求めるものは購入できる最大のケーキの個数であるのでこれを\(x\)とおきます。
求めるものを文字でおいたら③「不等式を立てる」です。
それぞれの代金の式をまずは文字を使って表すと、代金は
1個あたりの値段\(\times\)個数
であるので
・ケーキの代金 → \(250\times x\)
・お菓子の代金 → \(100\times (10-x)\)
となります。
ケーキの代金+お菓子の代金が1500円以下
という関係があり、「以下」であることから用いる不等号は「≦」です。
つまり
ケーキの代金+お菓子の代金≦1500円
であるので、それぞれの代金の式をあてはめると
\[
250\times x + 100\times (10-x) ≦ 1500
\]
という不等式を立式することができます。
では、立式ができたので④「不等式を解く」に移ります。
初めに両辺が50で割れるので、両辺に\(\div50\)または\(\times \frac{1}{50}\)をしてから計算しましょう。
\[
\begin{align}
250\times x + 100\times (10-x) &≦ 1500\\ \\
\{250\times x + 100\times (10-x)\}\times \frac{1}{50} &≦ 1500\times \frac{1}{50}\\ \\
5\times x + 2(10-x) &≦ 30\\
5x+20-2x &≦ 30\\
3x &≦ 10\\ \\
x &≦ \frac{10}{3}
\end{align}
\]
と求まりました。
では最後に⑤「求めるものの範囲の確認」です。
まずは数直線に表してみましょう。
この時前後の整数も記入しておきます。
図の赤い部分が求まった範囲となります。
答えは整数であるので、この範囲の最大の整数を考えると3となります。
よって、最大3個ケーキを買えることができると求まります。
まとめ
それでは今回のまとめです。
◯1次不等式の解き方の流れ
①問題文から数量関係を考える。
②求めるものを文字でおく。
③不等式を立てる。
④不等式を解く。
⑤求めるものの範囲の確認
◯1次不等式の解き方のポイント
・具体例を使って数量関係を考える。
・立式の際の不等号の向きに注意
・数直線を利用して範囲を考える
です。
今回は以上となります。
大問2のポイント解説は今回で終了です。
過去問や問題集などに挑戦してみて下さい。
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