高卒認定試験数学のポイント解説です。
大問3の「2次関数」について前回の続きの解き方のポイント解説をしていきます。
前回の記事はこちらから。

どのような問題が出題されるか
大問3では
・グラフの平行移動後の式を求める問題
・グラフの式を決定する問題
・頂点を求める問題
が出題されています。
それぞれの問題別に解説していきます。
グラフの概形を選ぶ問題
まずはグラフの概形を選ぶ問題です。
グラフの式が与えられて、選択肢から適するグラフを選ぶという問題です。
この問題のポイントは
②\(y\)軸との交点の座標
③頂点の座標
の順で考えていくことです。
ではそれぞれのポイントについて説明していきます。
①グラフが下に凸か上に凸か
グラフが下に凸か上に凸かを判断するには、それぞれのグラフの式
・標準形:\(y=a(x-p)^2+q\)
・因数分解形:\(y=a(x-\alpha)(x-\beta)\)
の\(a\)の符号に着目します。
・\(a\)<0のときはグラフは上に凸
です。
\(a\)の符号を確認すればすぐに分かるので、まずはどちらに凸か判断しましょう。
もちろん、全ての選択肢が下に凸、または上に凸であることもあるのでその時は①は飛ばしてもOKです。
②\(y\)軸との交点の座標
①でどちらに凸か確認し選択肢を絞った、または①を判断する必要がないときは②\(y\)軸との交点の座標を確認します。
\(y\)軸との交点は\(x\)座標が0であるときの\(y\)座標の値です。
つまり、それぞれのグラフの式に\(x=0\)を代入すれば求めることができます。
標準形と因数分解形はこの方法で\(y\)軸との交点を見つけて下さい。
では、一般形はどうするかというと
\[
y=ax^2+bx+c
\]
に\(x=0\)を代入してみると
\[
\begin{align}
y&=a\times0^2+b\times0+c\\
&=c
\end{align}
\]
となります。
そのため、一般形の場合は定数項(\(c\))を見れば\(y\)軸との交点を確認することができます。
\(x=0\)を代入を代入してもよいのですが、式の定数項を見たほうが早いのでこちらをオススメします。
③頂点の座標
①、②を確認すると2択まで絞られる、または答えが決まります。
答えが決まらなかった場合は、頂点を確認します。
頂点を確認するには標準形にする必要があります。
与えられている式が一般形や因数分解形である場合は平方完成を使って標準形にしましょう。
\(y=a(x-p)^2+q\)の頂点の座標は(\(p\) , \(q\))です。
例えば、\(y=-2(x+3)^2-3\)という式が与えられた、もしくは平方完成をして求まった時の頂点の座標は\(y=a(x-p)^2+q\)の式と比較して考えてみましょう。
・\(x\)座標 → \(-p=+3\) よって \(p=-3\)
・\(y\)座標 → \(+q=-3\) よって \(q=-3\)
従って\(y=-2(x+3)^2-3\)の頂点は(-3,-3)とわかります。
この①〜③の順で考えると効率よく解答できるので練習してみて下さい。
グラフの平行移動後の式を求める問題
これは
(b)どれだけ平行移動させたか、平行移動後のグラフの式の一部を答える
といった問題です。
(a)の問題
(a)\(y=ax^2\)のグラフを\(x\)軸方向、\(y\)軸方向にそれぞれ平行移動した後のグラフの式を求めるような問題であれば
を利用して解きます。
例えば
を求めるとします。
グラフの式に\(a=4\)、\(p=-2\)、\(q=3\)を代入して
\[
\begin{align}
y&=4\{x-(-2)\}^2+3\\
y&=4(x+2)^2+3\\
\end{align}
\]
とグラフの式を求めることができます。
選択肢が一般形の場合は、標準形を展開してあげればOKです。
また、\(x\)軸方向に移動がない場合は\(p=0\)、\(y\)軸方向に移動がない場合は\(q=0\)を代入すればOKです。
(b)の問題
(b)どれだけ平行移動させたか、平行移動後のグラフの式の一部を答えるような問題も同じように考えればOKです。
平行移動する量や移動後の式の一部が文字になっていますが、とりあえず文字のまま考え、2つの式を比較します。
例えばこんな問題です。
というような問題を考えてみます。
文字がありますが、そのままグラフの式を考えるので\(y=x^2\)のグラフを\(x\)軸方向に2、\(y\)軸方向に\(q\)だけ平行移動したときのグラフは、標準形のグラフに\(a=1\)、\(p=2\)、\(q=q\)を代入して
\[
\begin{align}
y&=1\times (x-2)^2+q\\
&=(x-2)^2+q\\
\end{align}
\]
となります。
この式と問題文の\(y=(x-p)^2-5\)とを比較します。
すると
・\(-p=-2\) よって \(p-2\)
・\(q=-5\)
とわかります。
このように、文字のままグラフの式を考え問題文の平行移動後のグラフの式と比較して考えるようにしましょう。
グラフの式を決定する問題
これは
(b)グラフの式と通る点が与えられていて文字部分を求める
というような問題が出題されます。
(a)の問題
(a)頂点、グラフが与えられていて式を求めるような問題は
②頂点がわかっているので標準形の式を利用する
③通る点を代入する
の順で解きましょう。
まず①ですが、グラフが与えられているのでどちらに凸かがすぐに判断することができます。
\(a\)が正か負か決定します。
グラフが与えられていないこともあるので、その場合は②からスタートしてください。
次に②です。
頂点がわかっているということは、標準形の式に代入してグラフの式を求めましょう。
このとき\(a\)は文字のままでOKです。
この段階で選択肢の\(a\)が全て同じであれば答えが決まるのですが、異なる場合は最後に③です。
問題文に原点を通る、などグラフの通る点が示されているので代入して\(a\)の値を求めましょう。
原点であれば(0,0)を代入します。
また、選択肢が一般形であれば標準形を展開して一致する答えを見つけて下さい。
(b)の問題
(b)グラフの式と通る点が与えられていて文字部分を求めるような問題は、通る点の座標を与えられている式に代入して、文字を求めればOKです。
例えば
というような問題です。
通る点をグラフの式に代入すればよいので
\[
\begin{align}
5&=3\{(-1)+1)\}^2-k\\
5&=-k\\
-5&=k
\end{align}
\]
と求めることができました。
\(a\)を求める場合も同じように代入して考えればOKです。
頂点を求める問題
最後に頂点を求める問題についてです。
グラフの式やグラフが与えられて頂点の座標を求めるという問題です。
与えられている式が標準形であればそのまま頂点を読み取ればOKです。
一般形の式が与えられている時は、平方完成をして標準形に直す必要があります。
なので、一般形を平方完成して標準形に直す練習をしておくようにしましょう。
グラフが与えられている時
グラフが与えられている場合それを利用する方法もあります。
2次関数のグラフは頂点を通る対称軸に関して対称という性質があります。
\(x\)軸との交点も示されているので、対称軸からそれぞれの交点までの距離は等しくなります。
すると、頂点の\(x\)座標がわかるのでグラフの式に代入すれば頂点の\(y\)座標も求めることができます。
例えば以下のような\(y=x^2+2x-8\)のグラフが与えられていたとします。
\(x\)軸との交点の座標から対称軸までの距離は交点間の距離の半分になるので
\[
\frac{2-(-4)}{2}=3
\]
となります。
すると、\(x\)座標が2の点から3対称軸方向にいった点、つまり\(x=-1\)が対称軸が通る点になるので頂点の\(x\)座標も-1となります。
後はグラフの式に-1を代入するとy座標が求まります。
\[
\begin{align}
y&=(-1)^2+2\times (-1)-8\\
&=1-2-8\\
&=-9
\end{align}
\]
よって頂点の座標は(-1,-9)となります。
ただし、グラフが与えられていないとこの方法は使えないので平方完成の練習も必ずしておいて下さい。
まとめ
それでは今回のまとめです。
・グラフの概形を選ぶ問題
①グラフが下に凸か上に凸か
②\(y\)軸との交点の座標
③頂点の座標
を確認する。
・グラフの平行移動後の式を求める問題
標準形の式を利用して解く
・グラフの式を決定する問題
◯頂点、通る点、グラフが与えられている場合
→①グラフから下に凸か上に凸か判断する
②頂点がわかっているので標準形の式を利用する
③通る点を代入する
◯グラフの式と通る点が与えられている場合
→グラフの式に通る点を代入する
・頂点を求める問題
◯標準形が与えられている → 式から座標を読み取る
◯一般形が与えられている → 平方完成して標準形に直してから読み取る
今回はここまでです。
どのように解くかを確認できたら問題に挑戦してみて下さい。
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