今回の物理基礎ポイント解説は「音の性質その2」です。
「音の性質その1」では
・音の大きさや高さ
・音の速さ
について解説しました。

今回の記事では
・うなり
について解説していきます。
音の伝わり方
ここでは音の反射について説明していきます。
音の反射でみなさんがよく知るものとしては「山びこ」があります。
「ヤッホー」と発した自分の声が空気中を伝わり、山で反射した音が少し時間が経った後に「ヤッホー」と返ってくる。
このように音は反射をします。
実は動物もこの音の反射を利用しています。
コウモリやイルカなどがこれにあたります。
発した超音波が獲物や障害物にあたり、その反射音を聞いて対称までの距離や方向を探知しています。
また、「残響」も音の反射によるものです。
音が短い時間に何度も繰り返し反射することで、音源が振動をやめた後にも音が聞こえ、音楽ホールでは残響も考えられて上で設計されています。
例題
この反射を利用することで距離を知ることができるわけですが、実際に計算してみましょう。
障害物に向かって声を発したところ、0.50秒後に障害物から反射音が聞こえた時、障害物までの距離を求めよ。
ただし、音の速さを\(3.4\times10^2\)[m/s]とする。
この問題について考えてみましょう。
速さ\(\times\)時間=距離であるので
\[
3.4\times10^2 \times 0.50=1.7\times10^2
\]
となります。
ここで、今計算した距離は発した声が往復した距離です。
求めたいものは障害物までの距離であるので、計算した距離の半分、つまり片道の距離なので
\[
1.7\times10^2\div2=0.85\times10^2
\]
よって\(85\)[m]となります。
うなり
次にうなりについて説明していきます。
中学生の時に理科の授業で聞いたことがあるかもしれませんが、2つのおんさを同時に鳴らすと、「ウォーン、ウォーン・・・」と音が大きくなったり、小さくなったりを繰り返しながら聞こえます。
このような現象を「うなり」といいます。
うなりは動数がわずかに違う2つの音波が重なり合うことで生じます。
おんさでの実験の時は片方のおんさにおもりをつけて振動数を変えています。
うなりの回数
それでは1秒あたりに何回うなりが生じるのかを考えてみます。
まずはうなりが1回生じる時間、つまりうなりの周期を\(T_0\)[s]とします。
ここで、振動数と周期には以下の関係がありました。
f=\frac{1}{T}
\]
これを用いると、1秒間に生じるうなりの回数を\(f_{\mbox{うなり}}\)とすると
\[
f_{\mbox{うなり}}=\frac{1}{T_0}\ \ \ \ \ \ \mbox{・・・①}
\]
となります。
これでうなりの回数が求められそうですが、1つ問題があります。
①式を見てもらえればわかると思いますが、うなりの周期が分かっていないとうなりの回数が求められません。
ではどうするかというと波の数からうなりの個数を考えます。
2つの音源の振動数をそれぞれ\(f_1\)、\(f_2\)とします。
うなりの周期\(T_0\)の間にそれぞれの音源からでる波の数はそれぞれ\(f_1T_0\)、\(f_2T_0\)となります。
そしてうなりが生じる時波の数が必ず1個分ずれます。
つまり2つの波の数の差が1であるので
\[
|f_1T_0-f_2T_0|=1
\]
となります。
絶対値をとっているのは回数が正の数のためです。
ここで\(T_0\)>\(0\)であることから両辺に\(\frac{1}{T_0}\)をかけます。
\[
\begin{align}
|f_1T_0-f_2T_0|&=1\\
|f_1-f_2|T_0\times \frac{1}{T_0}&=1\times \frac{1}{T_0}\\ \\
|f_1-f_2|&=\frac{1}{T_0}
\end{align}
\]
そして①式より\(f_{\mbox{うなり}}=\frac{1}{T_0}\)であるので
f_{\mbox{うなり}}=|f_1-f_2|
\]
とうなりの回数を求める式が導かれました。
この式からわかるように、2つの音源の振動数の差の数だけうなりが生じることとなります。
また、2つの音源の振動数が分かっていればうなりの回数を求めることができます。
練習問題
それでは2つほど問題を解いてみましょう。
①振動数450[Hz]のおんさAと振動数454[Hz]のおんさBを同時に鳴らした時に生じるうなりの回数は毎秒何回か求めよ。
②振動数590[Hz]のおんさAと振動数の分からないおんさBを同時に鳴らしたところ毎秒3回のうなりが生じた。おんさBの振動数は何[Hz]か求めよ。
ただし、おんさBの振動数はおんさAの振動数よりも小さいものとする。
まとめ
それでは今回のまとめです。
・音の反射
音は障害物などに当たると反射をする
(例)山びこ、コウモリやイルカなどの超音波
・うなり
振動数がわずかに違う2つの音波が重なり合い、音の大小が周期的に変わる現象
2つの音源の振動数をそれぞれ\(f_1\)、\(f_2\)とすると、うなりの回数\(f\)は
\[
f=|f_1-f_2|
\]
となる。
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