【物理基礎 熱】「熱量、比熱、熱容量、熱量の保存」のポイント解説 その1

今回も物理基礎の熱についての解説です。

前回は温度についてでした。

【物理基礎 熱】「温度」のポイント解説
物理基礎の熱の解説です。今回は熱とエネルーギーから温度についての解説です。日常生活でも「温度」という言葉はよく使う機会があるかと思いますが、温度について正しく理解しているでしょうか。そんな温度について説明します。

熱量、比熱、熱容量、熱量の保存について、よく理解できなかったという人は少なくないと思います。

特に

・比熱と熱容量の違いがわからない
・計算問題が解けない

といった疑問などがあるのではないでしょうか?

今回の記事では

・熱量
・比熱
・熱容量

を理解できるように説明していきます。
長くなってしまうので今回と次回との2回に分けて説明していきます。

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熱量

まずは熱量についてです。
先にポイントを示しておきます。

・熱:高温の物体から低温の物体へと移動するエネルギー

・熱量:移動した熱の量、単位はJ (ジュール)

・熱平衡:物体間で熱の移動がなくなった状態

それでは説明していきます。

高温の物体と低温の物体を接触させることを考えます。
(教科書等では熱した銅球や鉄球を水に入れる例が示されているので、それをイメージしてもらってもOKです。)

接触後、十分に時間が経過すると2つの物体の温度は等しくなります。

この時、接触した物体同士の間で構成する原子や分子が熱運動をし衝突し合うことで、高温の物体から低温の物体へとエネルギーが伝わります

この伝わったエネルギーのことをといいます。
また、移動した熱の量熱量といい、単位はJ(ジュール)です。

衝突を繰り返していくと、2つの物体の原子や分子の熱運動の激しさが等しくなっていきます。

熱運動の激しさを表すのが温度でしたので、激しさが等しくなるということは温度が等しくなることと同じです。
また、温度変化がなくなるので物体間での熱の移動がなくなります。

この物体間で熱の移動がなくなった状態熱平衡といいます。

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熱容量

次は熱容量です。
まずはポイントから。

熱容量 (C)
・物質の温度を1Kだけ上昇させるのに必要な熱量

・単位はJ/K (ジュール毎ケルビン)

・熱容量\(C\)[J/K]の物体の温度を\(\Delta T\)だけ変化させるのに必要な熱量\(Q\)[J]は
\[
Q=C\Delta T
\] と表される。

それでは、説明していきます。

熱容量とは?

物質に熱量を与えると温度変化が起こります。

しかし、例えば水と鉄のように材質が異なると同じ熱量を与えたとしても温度変化は異なります。(鉄のほうがすぐ温まります。)

また、同じ物質であっても質量が異なると同じ熱量を与えても温度変化は異なります。
例えば、100gの水と500gの水では100gのほうが温まりやすいです。

このことから、物質の材質や質量によって同じだけ温度を変化させようとすると、必要な熱量は異なることがわかります。

このような物体の温度変化に必要な熱量を表す量が熱容量です。

この熱容量は、物体の温度を1K上昇させるような熱量を表します。

記号としては\(C\)を使い、単位はJ/K (ジュール毎ケルビン)です。

熱容量が表すもの

この熱容量がわかれば温度変化の様子がわかります。
つまり

・熱容量が大きい → 温度変化させるのに多くの熱量が必要 → 温まりにくく冷めにくい

・熱容量が小さい → 温度変化させるのに少ない熱量で良い → 温まりやすく冷めやすい

ということを表しています。

では、熱容量の値がわかっている物体を温度変化させたい場合どのくらいの熱量を与えればよいのでしょうか?

熱容量は「物体の温度を1K上昇させるような熱量」のことでした。
つまり、熱容量を\(C\)[J/K]とすると、1K変化させたければ\(C\)[J]の熱量が必要ということです。
これを基準として考えていきます。

2K上昇させるのであれば、基準から2倍上昇させるので必要な熱量も2倍になるので

\[
2\times C=2C
\]

となります。
また、3Kであれば3倍上昇なので熱量も3倍、4Kであれば・・・

と比例関係となっています。

よって、熱容量\(C\)[J/K]の物体の温度を\(\Delta T\)だけ変化させるのに必要な熱量\(Q\)[J]は
\[
Q=C\Delta T
\] で表されます。

この\(\Delta T\)は温度変化を表しています。
例えば、30℃の水を100℃にした場合、温度変化は\(100-30=70\)℃ですね。

何℃温度が変わったかを式に代入します。

ここで

\(\Delta T\)の単位はKなので℃で考えてはダメなのでは?

と感じるかもしれませんが、前回の温度についての解説を思い出してみて下さい。
絶対温度はセルシウス温度と目盛りの間隔が等しくなるように定められているので

温度が1℃変化した = 温度が1K変化した

と考えても問題ありませんでした。

そのため、温度が30℃から100℃になり温度が70℃上昇すれば、70Kの上昇したことと同じであるので計算の際は気にする必要はありません。

具体例を使って確認してみましょう。

熱容量が45[J/K]の物体の温度を40K上昇させるのに必要な熱量を求めてみます。

熱容量\(C\)[J/K]の物体の温度を\(\Delta T\)だけ変化させるのに必要な熱量\(Q\)[J]は
\[
Q=C\Delta T
\]

に代入します。
\(C\)=45[J/K]、\(\Delta T\)=40[K]であるので求める熱容量\(Q\)は

\[
\begin{align}
Q&=45\times40\\
&=1800\\
&=1.8\times10^3[{\rm J}] \end{align}
\]

となります。
なお、数字が大きくなってしまうので、指数を用いて表記していきます。

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比熱

今度は比熱です。
まずはポイントから。

比熱(比熱容量) (c)

・単位質量の物質の温度を1Kだけ上昇させるのに必要な熱量

・単位:J/(g・K) (ジュール毎グラム毎ケルビン)

・質量\(m\)[g]、比熱\(c\)[J/(g・K)]の物体の温度を\(\Delta T\)[K]だけ上昇させるのに必要な熱量\(Q\)[J]は
\[
Q=mc\Delta T
\] と表される。

それでは説明していきます。

比熱とは?

先程の熱容量は物質や質量によって異なるというものでした。

水と鉄に同じだけ熱量を与えても、その温度変化は水と鉄とで変わります。

では、熱容量を比べるときにはどうしたらよいでしょうか?

単純に、鉄のほうが温まりやすいから熱容量が小さいとしていいのでしょうか?

ここで、質量が変化すると熱容量も変化してしまうので、そのままでは比較することができません。
そのため、質量をそろえる必要があります。

どのような重さで考えるかというと、単位質量を考えます。
この単位質量とは1gのことです。

この単位質量あたりの熱容量比熱といいます。
記号は\(c\)で、単位はJ/(g・K)(ジュール毎グラム毎ケルビン)です。

つまり、比熱は「単位質量の物質の温度を1Kだけ上昇させるのに必要な熱量」となります。

例えば、100gの物質の熱容量が50[J/K]であれば

\[
\begin{align}
50\div100&=\frac{50}{100}\\ \\
&=0.5
\end{align}
\]

となり、比熱は0.5[J/(g・K)]となります。

物体の比熱を考えることで温まりやすさを比較することができます。

25℃の水の比熱は4.18[J/(g・K)]、鉄の比熱は0.448[J/(g・K)]であり、水の比熱のほうが大きことから、水のほうが温まりにくいことがわかります。

このように比熱はわかっているので、質量と変化させる温度がわかれば必要な熱量を計算することができます。

比熱を\(c\)とすると、「単位質量(1g)の物質の温度を1Kだけ上昇させるのに必要な熱量が\(c\)」ということです。
これを基準に考えていきます。

まずは質量と温度と別々に考えていきます。

繰り返しますが、質量が1gの物体の温度を1K上昇させるのであれば\(c\)[J]の熱量が必要となります。

では、物体の質量が10gであれば、基準にしている質量の10倍の量あります。
つまり必要な熱量も10倍となるので

\[
c [{\rm J/(g・K)}]\times10 [{\rm g}]=10c [{\rm J/K}] \]

このように比例させて考えます。

では、次に温度変化についてです。
これも質量と同様に考えます。

1gの物体の温度を1K上昇させるなら\(c\)Jの熱量を必要とするので、10K上昇させるのであれば温度変化が10倍になるので、必要な熱量も10倍となります。

\[
c [{\rm J/(g・K)}]\times10 [{\rm T}]=10c [{\rm J/g}] \]

こちらも比例関係となります。

今度は、質量と温度変化とを一気に考えてみましょう。

必要な熱量は、質量、温度変化とどちらとも比例関係にあったので、質量が2倍、3倍・・・、温度変化も2倍、3倍・・・となれば必要な熱量はそれらをかけ合わせた分だけ変化します。

つまり、質量が2倍、温度変化が3倍であれば必要な熱量は比熱を\(2\times3=6\)倍した値となります。

よって、質量を\(m\)g、比熱\(c\)の物体の温度を\(\Delta T\)上昇させる時に必要な熱量\(Q\)は

\[
Q=mc\Delta T
\]

となります。

では具体例を使って確認してみましょう。
段階を踏んで考える場合と、一気に考える場合の2つを示しておきます。

0℃、200gの水を加熱して100℃にするとします。水の比熱を4.2[J/(g・K)]としてこの時に必要な熱量を考えてみます。

水の比熱4.2[J/(g・K)]を基準として考えます。
これは、1gの水の温度を1K上昇させるのに4.2J熱量が必要であることを示しています。

水の質量から考えてみます。
今回は200gの水なので、基準の200倍の量を加熱することになります。

よって、必要な熱量も200倍となります。

\[
\begin{align}
4.2\times200&=840\\
&=8.4\times10^2 [{\rm J/K}] \end{align}
\]

さて、この\(8.4\times10^2\)は何を表しているのかというと、しつこいようですが

1gの水の温度を1K上昇させる熱量

を基準とし、これを質量が200倍になっているので、200倍しました。
つまり

200gの水の温度を1K上昇させる熱量

ということになります。
次に、温度変化を考えます。\(\Delta T\)とおくと0℃から100℃へと変化させるので

\[
\begin{align}
\Delta T&=100-0\\
&=100
\end{align}
\]

です。
つまり100K上昇させるので先程の\(8.4\times10^2\)[J/K]を100倍します。

\[
\begin{align}
8.4\times10^2\times100&=840\times10^2\\
&=8.4\times10^4 [{\rm J}] \end{align}
\]

となり必要な熱量を求めることができました。

一気に求めるのであれば\(Q=mc\Delta T\)にそれぞれの値を代入して

\[
\begin{align}
Q&=200\times 4.2 \times 100\\
&=8.4\times10^4 [{\rm J}] \end{align}
\]

と求めることができます。

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まとめ

それでは今回のまとめです。

熱量
・熱:高温の物体から低温の物体へと移動するエネルギー
・熱量:移動した熱の量
・熱平衡:物体間で熱の移動がなくなった状態

熱容量
・物質の温度を1Kだけ上昇させるのに必要な熱量
・単位:J/K (ジュール毎ケルビン)
・熱容量C[J/K]の物体の温度を\(\Delta T\)だけ変化させるのに必要な熱量Q[J]は
\[
Q=C\Delta T
\] ・熱容量が大きいほど温まりにくく冷めにくい

比熱
・単位質量の物質の温度を1Kだけ上昇させるのに必要な熱量
・単位:J/(g・K) (ジュール毎グラム毎ケルビン)
・質量\(m\)[g]、比熱c[J/(g・K)]の物体の温度を\(\Delta T\)[K]だけ上昇させるのに必要な熱量Q[J]は
\[
Q=mc\Delta T
\] ・比熱が大きいほど温まりにくく冷めにくい

次回は、今回の続きと練習問題です。

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